科学技術振興機構 ERATO型研究 デザインインタフェースプロジェクトERATO について:ERATO (創造科学技術推進事業、戦略的創造研究推進事業 ERATO型研究)は、JST (科学技術振興機構)の実施する研究プログラムである。研究総括のもと、数名から十数名の研究者からなる研究グループを既存の組織とは独立に組織し、研究を行う。本プロジェクトの実施期間は2007年12月から2013年3月までである。
映像表現のための技術:
3次元形状表現やアニメーション表現などを手軽に行うための技術の開発を行う。これらの表現は、これまでアニメーションプロダクションなどによってプロの手で作られてきたものであるが、革新的な技術を提供することによって、一般のユーザが簡単に作成することが可能となる。この技術によって、社会生活のおけるさまざまな場面での視覚的情報伝達を豊かにすることが期待できる。例えば、数学の授業で3次元空間の概念について教えたり、生物の授業で生体の内部構造について教えたり、医者が患者に患部の状態について説明したり、建築家がクライアントに建築物の概要について説明したりする行為を支援することが可能となる。
Figure 1: 直接操作によるアニメーションの作成
生活デザインのための技術:
実世界において日常的に使用する道具を自らデザインできるようにすることを目指す。工場で大量生産された商品をお仕着せのように使うのでなく、情報処理技術を駆使して自分が本当に欲しい自分にぴったりの「物」を手に入れることが可能となる。たとえば、自ら着る衣服を3次元的な形状としてデザインし、さらに動いたときの様子や作成の手間などを実際に作る前に確認することができるようになる。また、普段使う家具なども自ら計算機でデザインし、オーダーメイドできるようにするための技術基盤の開発も行う。将来的には、生産・流通機構の改革とあわせ、「物をデザインする」プロセスをエンドユーザ側にもってくることのできる社会の実現を目指す。
Figure 2: エンドユーザによる生活用品のデザイン
ロボット行動デザインのための技術:
今後家庭に入ってくると予想されるロボットに対して、一般のユーザが行動を指示するための方法について研究する。これまでロボットの行動は技術者がプログラムしたものをそのまま繰り返すだけで、一般のユーザが個別のニーズに応じて組み替えることなどは困難であった。本プロジェクトでは、従来のプログラミングの枠組みを超えた視覚的で直接的な方法で行動を指示することを可能にする。この技術によって、実際に家庭にはいってきたロボットに対して、自分の必要に応じた「痒いところに手が届く」作業をしてもらうための指示を出すことが可能となる。
Figure 3: エンドユーザによる家庭用ロボットへの動作指示